ワクチンとは、実際には発症しないように毒を除いた病原体を体に入れて、体にあらかじめその病原体に対応する免疫を準備させておこうというものであり、実際にその病気に感染してしまってから、それを治すために使う治療薬とは全く別物なのです。
体が、今まで体験したことのない病原体に対する免疫を獲得するのに通常2〜3週間かかるので、ワクチンの接種は、それを見越して流行が始まる前もしくは流行が始まった直後にする必要があります。
いま、日本で施行されているインフルエンザのワクチンは、数十種類あるインフルエンザの抗体型のうち、その年に流行が来るだろうと予想される株を三つ(A型を二種類とB型一種類)混ぜて作られています。ですから、この予想が当たれば問題ないのですが、たまたま予想されなかった型のウイルスが大流行してしまった時には、ワクチンの効果が期待外れに終わってしまうこともあり得ます。
また、病原体の種類によっては、一度ワクチンで免疫をつけてしまうと、一生有効なものもありますが、たいていのワクチンでは数年で効果が弱くなり、インフルエンザのワクチンの場合は、3か月を過ぎると効果が薄れてくるといわれていますので、あまり早い時期にワクチンをしてしまうと、流行のお終いのころに効果が薄れてしまうこともあり得ます。
それに、いかに体に免疫がついていたとしても、その抵抗力を上回る濃厚な感染を受けたり、肝心の免疫の働きが落ちてしまうような体調の悪い時に感染したりすると、やっぱり発症してしまうものなのです。
このように、ワクチンは、感染症の発症予防に大きな力があるものなのですが、残念ながら、あらかじめワクチンさえやっておけば、絶対に発症しないというわけではないのだという事にご注意ください。
しかし、ワクチンで体の免疫を活性化させておけば、残念ながら発症してしまったとしても、重症化しにくいとか、軽く済ませられる確率が上がるという効果は確実にありますので、やっておいて無駄にはなりませんからご安心を!
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