「膵臓」について
ガン予防 - Reduce The Probability Of Cancer
理論派の救急医Hisaya Oyama 先生のレポートです。
今回は、なかなか意識しない割に、いざ病気が起こると重大な結果を招きやすい「すい臓の病気」に関するレポートです。
特に、すい臓ガンは、「発見された時にはほぼ手遅れ」と言われるほどに、検診にもっとも向かないガンで、たまたま受けたガン検診で適切な時期に見つかるというのは、宝くじで大当たりするのと同じようなものです。
ガンは、ガン細胞が出来た瞬間に発生するものではなく、毎日5千個ほど自然発生しているガンの元になる細胞の中の一個が、免疫細胞の攻撃を潜り抜けこっそり分裂を繰り返し、10年から20年かけてかろうじて肉眼で確認できる直径1Cm超のコロニー(約10億個=2の30乗)を形成します。
これが「早期ガン」で、この時点で対処できれば、根治が可能ですし、命にもかかわりません。
実質的に、ガンが周囲の組織から栄養と酸素をくすねて成長できるのはここが限界で、ここから更に増殖を続けていくためには、独自の腫瘍血管を獲得しなければなりません。時として、ガンがこのまま休眠したような状態となることもあり、一部の方々は、この「早期ガン」を「ガンもどき」と呼ぶこともあるのですが、めでたく(不幸にも)腫瘍血管の獲得に成功すると、その時点で「進行ガン」に変貌し、無制限に増殖が出来、転移も起こす致死的なガンとなります。
ガン検診の目的は、この発見できる大きさとなった「早期ガン」が、手におえない「進行ガン」に変貌する前に捕まえようとするもので、具体的には、一定期間ごとに池に投網を投げて、池の魚の育ち具合を確かめるようなもので、網の目にかかる大きさ以上に育っていて、なおかつ、育ち過ぎて美味しくなくなる前に捕まえられる確率は、魚の育つスピード(ガンの進行スピード)次第という事になり、早期ガンから進行ガンへの移行が2-3か月以内と非常に進行スピードの速いすい臓ガンを本気で捕まえようとするなら、毎月、超音波とCTを交互にやらなければならないという、非現実的な検査となってしまうのです。
検診を含めて、理解していていただきたいガンの基礎知識が簡潔にまとめられたページも上げておきます。
2013年12月14日
「膵臓」と「がん検診」
posted by shirokuma at 19:52| Comment(0)
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頑張っても続けられないのはなぜ? 「置き換えダイエット」に失敗してしまう理由
頑張っても続けられないのはなぜ?
「置き換えダイエット」に失敗してしまう理由
なぜあなたは食べ過ぎてしまうのか 成功率9割以上の肥満専門外来が教えるダイエットの心
高脂血症や糖尿病、等々の生活習慣病の定期採血結果を見ながら交わされる会話。
「うーん、もう一つだよね。」
「ちゃんと意識を持って努力してるんですけど…」
「でも、この数字なんかは、じわじわ上がり続けているし、やっぱりもう一段の努力が必要だよね。」
「えー、ちゃんと毎日ウオーキングもしているし、油ものなんて食べてないし、ご飯だって言いつけ通り一膳で守っているのに、これ以上どうしろと…」
「いやいや、あなたが努力していないとは言っていないんですよ。ただ、その努力が「結果に結びつく分の努力になれているか?」という問題なのです。」
「だから、ウオーキングもしてるし、食事だっていつもと同じで、決して増やしてなんかいませんよ!」
「確かにあなたは努力はしているのです。ただ、その努力がちょっと足りないか、努力の仕方を間違えているのです。ちょうど小学生の子供が、「自分は毎日30分勉強机に座ってるんだから、ちゃんと努力してるよ!」と言っていることと同じことで、その努力の中身が「テストで80点を取るのに十分だったのか?」ということこそが問題なのです。」
「だって、食事だって運動だって言われたとおりにやってるし、前より食べ過ぎてなんかいないのに…」
「残念ながら、数字がじわじわ上がり続けているということは、「今の運動量に対して、今の食事量ではすでに過剰だよ」ということなのです。現状を変えるためには、今やっていることのうち、何かを変えていかなければならないのですよ。」
「えー、そうなんだーーー」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
長々とお付き合いありがとうございます。
今回話題とする「置き換えダイエット」も、ほぼ同様の問題を孕んでいます。
いつもの繰り返しですが、古今東西のダイエット法に唯一共通する真理は、「消費するカロリー以上に摂取しない」その一言です。
この置き換えダイエットも、普通に食べてはカロリーオーバーしてしまう食生活を改善するための「手段」として、一食分をバランスのとれた低カロリー食品に置き換えて、「一日の総摂取カロリーを引き下げる」という「目的」を達成しようとするものであり、その「目的」が達成されることで、「お腹のぷよぷよが減る」という「結果」がついてきます。
つまり、いくら色々な「手段」を尽くしてみたところで、カロリー削減という「目的」が達せられない限り、あの引き締まったウエストを取り戻すという「結果」は、得られないのです。
そして、実際のところ「目的」が達成されるのであれば、「手段」は何だっていいはずなのですが、巧妙に「燃焼加速効果」とか「酵素強化で若返り」などとくすぐり文句が並んでいるのに目がくらんで、大枚を叩くだけならまだいいのですが、「手段」を守っているだけで「結果」がついてくると誤解してしまうことで、間違いが起きるのです。
問題になるのは、「朝起きてから眠るまでの間に取った総カロリー」であって、何かを食べたかとか食べないとか、お茶碗の大きさなどは、大した問題とはならないのです。大事な事は、「食べ過ぎなことが分かって居ながら、どうして食べてしまうのか?」ということなんです。
そこに疑問を抱いた方のための参考書を付加しておきます。
なぜあなたは食べ過ぎてしまうのか 成功率9割以上の肥満専門外来が教えるダイエットの心
第1章 こんな行動をしていませんか?
1 口寂しくて間食する
2 早食いでたくさん食べる
3 食後のデザートは別腹
4 片付け食いをする
5 やめられない、止まらない!
6 食べ物を多く買い過ぎる
7 お酒を飲むと食べ過ぎる
8 1日1食でドカ食い
9 夕食を取る時間が遅い
10 コンビニの誘惑に負ける
11 旅行に行くと食べ過ぎる
第2章 こんなストレスを抱えていませんか?
12 嫌なことがあるとやけ食い
13 残すことに罪悪感がある
14 疲れると甘いものを食べる
15 人に勧められると断れない
16 悩み事があると食べてしまう
17 ダイエット中に食べ過ぎる
第3章 こんな変化はありませんか?
18 一人暮らしを始めたら太った
19 タバコをやめたら食欲が増進
20 生理前になると食べ過ぎる
21 出産後、体重が増加!
22 更年期障害で太り始めた
第4章 肥満外来で”食べ過ぎ”から抜け出した患者さんたち
「置き換えダイエット」に失敗してしまう理由
なぜあなたは食べ過ぎてしまうのか 成功率9割以上の肥満専門外来が教えるダイエットの心
高脂血症や糖尿病、等々の生活習慣病の定期採血結果を見ながら交わされる会話。
「うーん、もう一つだよね。」
「ちゃんと意識を持って努力してるんですけど…」
「でも、この数字なんかは、じわじわ上がり続けているし、やっぱりもう一段の努力が必要だよね。」
「えー、ちゃんと毎日ウオーキングもしているし、油ものなんて食べてないし、ご飯だって言いつけ通り一膳で守っているのに、これ以上どうしろと…」
「いやいや、あなたが努力していないとは言っていないんですよ。ただ、その努力が「結果に結びつく分の努力になれているか?」という問題なのです。」
「だから、ウオーキングもしてるし、食事だっていつもと同じで、決して増やしてなんかいませんよ!」
「確かにあなたは努力はしているのです。ただ、その努力がちょっと足りないか、努力の仕方を間違えているのです。ちょうど小学生の子供が、「自分は毎日30分勉強机に座ってるんだから、ちゃんと努力してるよ!」と言っていることと同じことで、その努力の中身が「テストで80点を取るのに十分だったのか?」ということこそが問題なのです。」
「だって、食事だって運動だって言われたとおりにやってるし、前より食べ過ぎてなんかいないのに…」
「残念ながら、数字がじわじわ上がり続けているということは、「今の運動量に対して、今の食事量ではすでに過剰だよ」ということなのです。現状を変えるためには、今やっていることのうち、何かを変えていかなければならないのですよ。」
「えー、そうなんだーーー」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
長々とお付き合いありがとうございます。
今回話題とする「置き換えダイエット」も、ほぼ同様の問題を孕んでいます。
いつもの繰り返しですが、古今東西のダイエット法に唯一共通する真理は、「消費するカロリー以上に摂取しない」その一言です。
この置き換えダイエットも、普通に食べてはカロリーオーバーしてしまう食生活を改善するための「手段」として、一食分をバランスのとれた低カロリー食品に置き換えて、「一日の総摂取カロリーを引き下げる」という「目的」を達成しようとするものであり、その「目的」が達成されることで、「お腹のぷよぷよが減る」という「結果」がついてきます。
つまり、いくら色々な「手段」を尽くしてみたところで、カロリー削減という「目的」が達せられない限り、あの引き締まったウエストを取り戻すという「結果」は、得られないのです。
そして、実際のところ「目的」が達成されるのであれば、「手段」は何だっていいはずなのですが、巧妙に「燃焼加速効果」とか「酵素強化で若返り」などとくすぐり文句が並んでいるのに目がくらんで、大枚を叩くだけならまだいいのですが、「手段」を守っているだけで「結果」がついてくると誤解してしまうことで、間違いが起きるのです。
問題になるのは、「朝起きてから眠るまでの間に取った総カロリー」であって、何かを食べたかとか食べないとか、お茶碗の大きさなどは、大した問題とはならないのです。大事な事は、「食べ過ぎなことが分かって居ながら、どうして食べてしまうのか?」ということなんです。
そこに疑問を抱いた方のための参考書を付加しておきます。
なぜあなたは食べ過ぎてしまうのか 成功率9割以上の肥満専門外来が教えるダイエットの心
第1章 こんな行動をしていませんか?
1 口寂しくて間食する
2 早食いでたくさん食べる
3 食後のデザートは別腹
4 片付け食いをする
5 やめられない、止まらない!
6 食べ物を多く買い過ぎる
7 お酒を飲むと食べ過ぎる
8 1日1食でドカ食い
9 夕食を取る時間が遅い
10 コンビニの誘惑に負ける
11 旅行に行くと食べ過ぎる
第2章 こんなストレスを抱えていませんか?
12 嫌なことがあるとやけ食い
13 残すことに罪悪感がある
14 疲れると甘いものを食べる
15 人に勧められると断れない
16 悩み事があると食べてしまう
17 ダイエット中に食べ過ぎる
第3章 こんな変化はありませんか?
18 一人暮らしを始めたら太った
19 タバコをやめたら食欲が増進
20 生理前になると食べ過ぎる
21 出産後、体重が増加!
22 更年期障害で太り始めた
第4章 肥満外来で”食べ過ぎ”から抜け出した患者さんたち
posted by shirokuma at 19:33| Comment(1)
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「潰瘍性大腸炎」と「関節リウマチ」
『潰瘍性大腸炎』のレポート
「関節リウマチ」のレポート
リウマチの近縁疾患である「繊維筋痛症」のレポート
理論派の救急医Hisaya Oyama 先生のレポートです。
今回は難病シリーズで、安倍首相で有名になった「潰瘍性大腸炎」と、高齢になればなるほど深刻になりやすい「関節リウマチ」についてのレポートです。
潰瘍性大腸炎、クローン病、リュウマチ性疾患、等々、生物学的製剤が有効な難病はすべて、自己免疫反応によって引き起こされています。そのきっかけとなる部分に関しては、まだ未解明の部分があり、どの抗原に反応し、どこに障害が現れるかというのがそれぞれの病気によって異なるものなのですが、「異常な興奮を起こした免疫細胞が、自分を構成している正常な細胞まで異常と認識して攻撃を加えてしまうようになって発生する」という点で共通しています。
まるで、国を守る軍隊が、部落に紛れ込んだゲリラを洗い出すために乗り込んできたのはいいけれど、派遣された部隊が少なすぎたり、ゲリラの被害があまりに激しすぎたりしたために、司令官がパニックを起こしてしまい、一般住民を巻き込むのもいとわず、部落全体を殲滅させてしまおうと無差別に攻撃する状態となっているようなもので、国連軍の介入のように免疫抑制剤を使うことで、一時的に鎮静化(緩解導入)することはできるのですが、同様のパニックが引き起こされるたびにジェノサイド(再発&再燃)を繰り返し、どんどん病状が悪化していくことになるのです。
しかも、攻撃を加える側も自分自身、被害を受けるのも自分自身という事で、自分の身体に内在した反応であるため、基本的に一生その体質から逃れることはできず、ひたすら再燃を呼ばないように安定した生活を維持してゆくという事が、唯一の解決策となります。
もちろん、急性期には、それ以上身体にダメージをこうむらないように、早急に適切な治療を受けなければなりません。しかし大切なのは、小山先生のスレッドで西野先生が繰り返し訴えておられる通り、緩解導入に成功した後の慢性期の生活管理なのです。
その慢性期の生活管理で、何が大切なのかというと、「無理をしない!」の一言です。
身体を無視した負担をかけ続けて慢性疲労の状態となったり、生活リズムの乱れや神経的な不安定から自律神経のアンバランスをまねいたり、偏った食事内容で腸内細菌のバランスを乱して悪玉菌を増やしたり、刺激物の習慣的な大量摂取を続けたり、そうしたことの一つ一つが、再燃の引き金を引くことになります。
こういうことを言うと、「じゃあ、入院していた時のように、何にもできずじっと寝ていろって事ですか!」と涙目で訴えられるのですが、そうではありません。「身体と相談しながら、できる分はやっていいんです。」ただし「やりたい事をやりたい位にやってはいけません!」という事なんです。
そして、その出来る分を広げるために、維持的な内服治療をするのです。
この、生活の負担と内服治療の関係は、波と堤防の関係にたとえられます。
べたなぎの時には、堤防があってもなくても、浜が潮を被ることはありません。
しかし、堤防があれば、多少の波が来ても、浜を潮から守ることが出来ます。
ただし、いくら堤防があっても、その堤防を越える大波が来てしまえば、やっぱり浜は潮を被ってしまう(再発してしまう)ことになるのです。
ですから、いつまで、どのぐらいの薬を飲まなければならないのかという問題は、波が起こる可能性のある間(基本的に一生)、生活の様子(体への負担)に見合ったぐらいという事になり、薬を飲んでいてさえ、支えきれないほどの負担(ストレスや急な疲れなどのイベント)があると、再燃が起こるのです。
加えて、自己免疫疾患には、様々な民間療法、代替え治療もまことしやかに流布されているのですが、実のところ、私は代替医療のすべてを否定するものではありません。
酵素ジュースであれ、リンパ体操であれ、それなりにいい面も確かにあるわけで、良い事の上に良い事を積み重ねて自分の身体と仲良く気分良く過ごせるなら、それはそれでOKだと考えています。
ただし、それはトータルバランスの中でという話であって、「何かさえやっていれば、他は何をやっても大丈夫」だとか「何かさえ排除しておけば、その他はどうでもいい」という都合のいいことは、やっぱりないのです。
大多数の代替療法が、免罪符的に「これさえやれば、あなたの不摂生は帳消しにされる」とか「これさえやっておけば、何を食べても大丈夫」的な事を謳い、間違った道に誘導してしまうことが問題だと考えています。
自己責任で、自分が好き好んでやる分には特に問題ないのですが、他人に対して「これが良いよ」と勧める場合には責任が生じます。
当然のことながら、より良い方向に導けるような理論と経験の裏付けを持って、対象となる方の特性やバックグラウンドを理解したうえでの指導が必要となります。
対象者の状態によっては、通常良い事とされることが、かえって毒になることもしばしば見受けられます。
きちんと条件を分けて、条件ごとに必要な行動を指示できるのか、一派一絡げに「ねばならない」でくくって強制するのかが、科学と似非科学を分ける境界だと思っています。
「関節リウマチ」のレポート
リウマチの近縁疾患である「繊維筋痛症」のレポート
理論派の救急医Hisaya Oyama 先生のレポートです。
今回は難病シリーズで、安倍首相で有名になった「潰瘍性大腸炎」と、高齢になればなるほど深刻になりやすい「関節リウマチ」についてのレポートです。
潰瘍性大腸炎、クローン病、リュウマチ性疾患、等々、生物学的製剤が有効な難病はすべて、自己免疫反応によって引き起こされています。そのきっかけとなる部分に関しては、まだ未解明の部分があり、どの抗原に反応し、どこに障害が現れるかというのがそれぞれの病気によって異なるものなのですが、「異常な興奮を起こした免疫細胞が、自分を構成している正常な細胞まで異常と認識して攻撃を加えてしまうようになって発生する」という点で共通しています。
まるで、国を守る軍隊が、部落に紛れ込んだゲリラを洗い出すために乗り込んできたのはいいけれど、派遣された部隊が少なすぎたり、ゲリラの被害があまりに激しすぎたりしたために、司令官がパニックを起こしてしまい、一般住民を巻き込むのもいとわず、部落全体を殲滅させてしまおうと無差別に攻撃する状態となっているようなもので、国連軍の介入のように免疫抑制剤を使うことで、一時的に鎮静化(緩解導入)することはできるのですが、同様のパニックが引き起こされるたびにジェノサイド(再発&再燃)を繰り返し、どんどん病状が悪化していくことになるのです。
しかも、攻撃を加える側も自分自身、被害を受けるのも自分自身という事で、自分の身体に内在した反応であるため、基本的に一生その体質から逃れることはできず、ひたすら再燃を呼ばないように安定した生活を維持してゆくという事が、唯一の解決策となります。
もちろん、急性期には、それ以上身体にダメージをこうむらないように、早急に適切な治療を受けなければなりません。しかし大切なのは、小山先生のスレッドで西野先生が繰り返し訴えておられる通り、緩解導入に成功した後の慢性期の生活管理なのです。
その慢性期の生活管理で、何が大切なのかというと、「無理をしない!」の一言です。
身体を無視した負担をかけ続けて慢性疲労の状態となったり、生活リズムの乱れや神経的な不安定から自律神経のアンバランスをまねいたり、偏った食事内容で腸内細菌のバランスを乱して悪玉菌を増やしたり、刺激物の習慣的な大量摂取を続けたり、そうしたことの一つ一つが、再燃の引き金を引くことになります。
こういうことを言うと、「じゃあ、入院していた時のように、何にもできずじっと寝ていろって事ですか!」と涙目で訴えられるのですが、そうではありません。「身体と相談しながら、できる分はやっていいんです。」ただし「やりたい事をやりたい位にやってはいけません!」という事なんです。
そして、その出来る分を広げるために、維持的な内服治療をするのです。
この、生活の負担と内服治療の関係は、波と堤防の関係にたとえられます。
べたなぎの時には、堤防があってもなくても、浜が潮を被ることはありません。
しかし、堤防があれば、多少の波が来ても、浜を潮から守ることが出来ます。
ただし、いくら堤防があっても、その堤防を越える大波が来てしまえば、やっぱり浜は潮を被ってしまう(再発してしまう)ことになるのです。
ですから、いつまで、どのぐらいの薬を飲まなければならないのかという問題は、波が起こる可能性のある間(基本的に一生)、生活の様子(体への負担)に見合ったぐらいという事になり、薬を飲んでいてさえ、支えきれないほどの負担(ストレスや急な疲れなどのイベント)があると、再燃が起こるのです。
加えて、自己免疫疾患には、様々な民間療法、代替え治療もまことしやかに流布されているのですが、実のところ、私は代替医療のすべてを否定するものではありません。
酵素ジュースであれ、リンパ体操であれ、それなりにいい面も確かにあるわけで、良い事の上に良い事を積み重ねて自分の身体と仲良く気分良く過ごせるなら、それはそれでOKだと考えています。
ただし、それはトータルバランスの中でという話であって、「何かさえやっていれば、他は何をやっても大丈夫」だとか「何かさえ排除しておけば、その他はどうでもいい」という都合のいいことは、やっぱりないのです。
大多数の代替療法が、免罪符的に「これさえやれば、あなたの不摂生は帳消しにされる」とか「これさえやっておけば、何を食べても大丈夫」的な事を謳い、間違った道に誘導してしまうことが問題だと考えています。
自己責任で、自分が好き好んでやる分には特に問題ないのですが、他人に対して「これが良いよ」と勧める場合には責任が生じます。
当然のことながら、より良い方向に導けるような理論と経験の裏付けを持って、対象となる方の特性やバックグラウンドを理解したうえでの指導が必要となります。
対象者の状態によっては、通常良い事とされることが、かえって毒になることもしばしば見受けられます。
きちんと条件を分けて、条件ごとに必要な行動を指示できるのか、一派一絡げに「ねばならない」でくくって強制するのかが、科学と似非科学を分ける境界だと思っています。
posted by shirokuma at 19:26| Comment(0)
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