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2013年08月24日

アルコール依存症

アルコール依存症

理論派の救急医Hisaya Oyama 先生のレポートです。

今回は、「アルコール依存症」についてのレポートです。

このレポートを読まれて、もし、依存を心配される方がいらっしゃいましたら、毎月月初めに、暦に休肝日マークをつけましょう。
色々言い訳せず、付けたマーク通りに休肝日を取れるなら、問題はありません。
ただ、仕事なり、プライベートなり、さまざまな理由をつけて、振替することもなく休肝日と決めたはずの日にもダラダラ飲んでしまうようなら要注意!Oyama先生が示された、依存症の段階2-3の境界にいるということになります。
ちなみに、これは飲む量とは関係ありません。
アルコールを飲まないと決めた日に、アルコールを入れないで済ませられるか?という問題であり、いつもの半分の量にしたから、我慢できたという話ではありませんので、お間違えにならないように。

通常、休肝日の話をするときは、週に二日程度と推奨されていますが、出来れば三日飲酒、一日お休みのバラバラでとるのではなく、五日飲酒、二日お休みのパターンで取っていただくことをお勧めしています。

肝臓でのアルコール代謝は、個人差がありますが一時間につき1CCから数CCに過ぎず、一合のお酒に含まれる25CCのアルコールですら、人によってはほぼ一日かかって処理されることになり、三合以上の飲酒であれば、翌日まで処理が持ち越しになることもしばしばという話になります。
なので、常習的に飲酒をされている方には、ぜひ休肝日を取っていただきたいという話になるのですが、一日だけの休肝日では、その持ち越し分の処理が終わってほっと一息つく暇なく次のアルコールが入ってきてしまうため、肝臓の機能回復が十分行われず、じわじわダメージが蓄積されてしまうケースをまま見かけます。
ですから、休肝日の一日目はたまった後処理の日、二日目は機能回復の日として、二日連続での休肝日を取っていただくのが理想となります。
イメージとしては、集中豪雨のあとのがれきをやっと片づけたと思ったとたんにまた雨が降るという感じで、その次の雨が降る前に水路を広げるとか、土嚢を積み増すとかの作業をする時間が欲しいのですよ、という感じとなります。

あと、一般論として、日本人の場合、一生のうちにアルコールでおよそ一トン飲むと肝硬変になれるという話があります。
アルコールで一トンというと、膨大な量に感じるでしょうが、日本酒換算でおよそ4000升ほどになります。
これを法律を守ったとして、二十歳から六十歳までの四十年かけて飲むとすると、一年あたりでおよそ100升。
なんか身近な量になってきていませんか?
さらに一日当たりにすると、およそ二合五勺程になります。
なんか、よく飲んじゃう量になってませんか?
ということは、一日三合ペースで毎日お酒を飲むと、定年前に肝臓障害でお医者さんのお世話になっちゃいますよ!ということなんです。しかも、それを越して飲むアルコールは、この世で飲む分を越してあの世の分を前借することになりますから、飲めば飲むほどあの世に近づいてしまいますよ!という話にもなります。

日本酒一合=約25CCのアルコールというのは、
ビールなら、中ビン(500ml)一本
焼酎なら、1/2のお湯割りか水割りで一杯
ワインなら、グラス二杯
ウイスキーなら、ダブルの水割りで一杯
でほぼ同等となります。

さあ、あなたは、この世で安心して飲める分が、あとどれぐらい残っていますか?
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「食の正論」で家庭は崩壊〜超現実的食育のススメ

「食の正論」で家庭は崩壊〜超現実的食育のススメ

どういった分野においても、現実に即さない「正論」を振りかざし、破綻を招いているケースを見かけます。

文中にもある、核家族化の進行に伴う、食と調理の知識と技術の伝承の途絶、少人数になればなるほど非効率となる、食材の整え方と調理にかけられる手間と時間。
こうした方がよりいいのは分かって居るけれども、それを無理に実行することで生活自体が成り立たなくなるジレンマ。
根本的な解決に導く一つの方策としては、社会制度として大家族回帰への潮流を作ることなのですが、それが明日・明後日に出来るわけではなく、現実どうして行ったらいいか?という話になります。

いつも言っていることですが、「ねばならない」でくくらないでください。
出来る事を出来る分ずつでいいのです。たまの手抜きも、もちろん結構。肝心なのは、持続できる努力を続けることなのです。
今の日本の食事事情で、加工食品を完全に排除することも、有害な添加物が一切含まれない食材をそろえ続けることも、毎食毎食、過不足のない完全な栄養バランスの食事を提供し続けることも、はっきり言って不可能なのですから…
不可能を可能とするために頑張った結果、食事を提供する人自身が倒れたのでは、元も子もなくなってしまいます。
こうしたほうが良いね、という方向性をしっかり見つめながら、少しずつ実現に向けた努力があればいいのです。

文末にあるように、出来合いを組み合わせたものでもいい、ほんの少しでいいので手をかけて、一緒に笑いながら食事をととる。
食事という行為が、ただ単に栄養補給というのみではなく、色々な意味で大事なものだと感じられるようにしていく、その意識を持つだけでも大きな意義があるものだと思います。

生き物はバランスで成り立っています。
精製された食べ物は、効率よく栄養を吸収できてしまう分、簡単に特定の栄養の過剰状態を作り出してしまいます。だから「安易な使用は危険だよ」、ということ自体はその通りなのですが、それを理解したうえで適正に使えているならば問題ないのです。
(その「適正に」を守るのが難しいという話もまたあるのですが…)
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笑いの効果

笑いの効果

理論派の救急医Hisaya Oyama 先生のレポートです。

今回は、「脳科学的な笑いの力」についてのレポートです。

気分って、伝染しますよね。
家庭の中にムードメーカーがいると、家族全体が明るくなります。
「向かい合う相手の行動は、自分の行動の鏡」
「相手をいい気分にしてあげると、自分もいい気分にしてもらえる」
「自分が幸せになるために、パートナーのことを幸せにする」
等々いろいろ言われていますが、実は自分の脳の中でも同じことが起きているんです。

人間の脳は三階建てになっており、
一番根元の部分に、生命活動の自動調節機能を受け持つ「脳幹+視床下部+小脳」=命の脳。
命の脳を包み込むように、本能的な行動や情動からくる感情を担う「大脳基底核、大脳辺縁系(古皮質&旧皮質)」=心の脳。
その外側をくるみこむように、高度な情報処理を得意とする「大脳新皮質」=理性の脳
で組み立てられています。
「命の脳」は、単純な自動制御回路の集まりであり、「心の脳」は、過去の経験から今の状態が生命維持に適しているかどうかを判断する現在を生きる脳であり、「理性の脳」は多数集められる情報を組み合わせて、未来を予測する機能を獲得しています。なので、「命の脳」と「心の脳」は、いま現実に直面していることにしか反応できないのですが、「理性の脳」は違います。現実には存在しないことでも勝手に作り出してしまう事が出来るんです。
通常では、「命の脳」から伝えられる体調に応じて、「心の脳」で情動や感情が形成され、その情報を「理性の脳」で処理する過程で感情が意識され、表情や行動に反映していきます。
ところが、「理性の脳」が勝手にありもしない不安を作り出し、「心の脳」から指示されていない感情を強く意識してしまうと、今度はその感情の情報が「心の脳」に逆流を起こして「心の脳」が勘違いを起こしてしまうため、「命の脳」に誤った制御が行われ、体調の変化が起こり、いわゆる不安神経症が発生します。
今回のOyama先生の提案は、そうした脳の構造を逆手にとって、幸せだと信じることで、実際の境遇とは関係なく心と体を安定した状態に導く、とても素晴らしい提案です。
今の境遇に満足しているなら、すでに幸福感に包まれているわけなのですが、何らかの不満や不安があるから心が暗くなる。その状況を変化させるためには、今やっていることのうち、何かを変化させていくしかないのですが、その新しい一歩を踏み出すのを不安な気持ちが邪魔をする。そこで、意識して微笑みを浮かべることで、「心の脳」に「大丈夫だよ、不安なことはないよ」という信号を送り、「命の脳」にかけられていた抑制を外して、必要な一歩を踏み出しやすくすることが出来ます。
明るく笑顔で、いい明日を掴みに行きましょう!


一刻一秒を争う救命救急や心臓や脳などの大血管障害、外科的な処置が必要な病気においては、「医者が患者を救った」と胸を張って言えるのですが、一般内科領域で病気を予防したり治したりするのは、「患者さん本人」なんです。
自然の理を無視するから、ならなくてもいい病気になる。
自らの恒常性を発揮させることで、病気から回復する。
一般の医師がやっていることというのは、病気に至るまでの道筋でなにが一番の障害となったのかを見極め、それを回避するためにどのような行動をとるべきかを指示する事だけと言ってもいいのです。
根本のところで言えば、「自分に優しく(甘えるのではなく)身体と仲良く過ごしましょう。」と言う話しです。
身体からの声に耳を傾け、自分の身体と仲良く付き合い、一緒にピンコロを目指しましょう!
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posted by shirokuma at 17:19| Comment(0) | FB覚書